赤血球の話ふたたび

最新の研究によると、
ヒトのからだは約37兆個の細胞でできています。
そのうち、赤血球の数は約20兆個。

20兆個の赤血球は、
血管の中を時速200kmで流れています。

赤血球の寿命は約120日。
寿命の尽きた赤血球をおぎなうために、
毎日2000億個の赤血球が、脊髄で作られています。

20兆÷37兆≒約0.54=54%。
ヒトの細胞の半分以上は赤血球です。

血液検査でも赤血球に関する項目は多いです。

〇RBC(赤血球数)

「血液中の赤血球の数」です。
血液検査で「5.0」と表示されてたら、
血液1μL(1000分の1mL)中に500万個あるよ
って意味です。

赤血球って小さいんですねえ。

〇Hgb(血色素量)(g/dL)

けっしきそりょう、と読みます。
「血液1dL中のヘモグロビンの重さ」
ちなみに、dL=100mLです。

Hgbは、
一般的には「貧血かどうか」を見る数値ですね。
一方で、ヘモグロビンという分子は
「赤血球に含まれる鉄たんぱく質」です。
分子栄養学ではHgbを
「鉄とたんぱく質の指標」
と考えます。

〇Ht(ヘマトクリット)は、
「血液中の赤血球の体積割合(%)」
人間ドックだと測ってもらえることがあるんですかね。
低すぎればもちろん貧血の指標になりますし、
分子栄養学だと
「ほかの病気の可能性を排除したうえで、高すぎ=脱水」
と想像します。

MCV、MCH、MCHCは計算で出せます。
こっからがちょっとややこしい。

〇MCV(平均赤血球容積)

「赤血球1個の大きさ(fL)」です。
計算式は
MCV=(Ht/RBC)×10

全部の赤血球がこの大きさ、ではなく
あくまで「平均」です。

fLは「フェムトリットル」
1fL=1×10-15L=1000兆分の1リットル

〇MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)

「赤血球1個に含まれるヘモグロビンの重さ(pg)」
計算式は
MCH=(Hgb/RBC)×10
pgはピコグラム。
1pg=1×10-12g=1兆分の1グラム

〇MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)

「赤血球1個のヘモグロビン濃度(%)」です。
計算式は
MCHC=(Hgb/Ht)×100

後半が相当ややこしかったですが、

RBC=赤血球の数
Hgb=ヘモグロビンの量
Ht=血液中の赤血球の割合
という「生データ」を見て、
MCV、MCH、MCHCで「赤血球の質」を見る

とイメージしてもらえればいいかな、と思います。

赤血球=細胞に酸素を運ぶ運送業
だとすると、

RBC=トラックの台数

MCV=トラックの大きさ
小さすぎ→運搬の効率が悪い
大きすぎ→狭い道(毛細血管)を通れない

MCH=酸素を入れる段ボールの大きさ

MCHC=1箱に詰め込める荷物の量

どっかの数値がはみ出るのは、
物流がとどこおる→各家庭(細胞)の生活に影響が出る
みたいな。

興味のある方は、
実際に手を動かして計算してみると、
イメージしやすいかも。

私は久しぶりに濃度計算をして、
学生時代も得意じゃなかったな、と思い出しました。

別に計算式や単位を暗記してほしいわけじゃなくて
「赤血球ってめっちゃ小さいけど、
めっちゃ数が多いから
全身に影響を与えてるんだな~」
とイメージできれば十分。

赤血球の事は前にも書いたことがありまして、

数値を読むときは「マスキング」に注意

ちょっと別の視点から書いてみました。