鉄を見る別の指標「Fe(血清鉄)、UIBC、TIBC」とは

ヒトの体にある鉄は3~5グラム。
ヒトに欠かせない元素です。

鉄は「電子をもらいやすいし、手放しやすい」
という性質があります。

この性質を上手く活用してるのが
「ミトコンドリアの電子伝達系」です。
鉄を含んだいくつかの酵素が
電子をバケツリレーするおかげで、
ATP=エネルギー通貨
を大量生産できます。

鉄の「電子の出入りがしやすい性質」
には弱点もあって、それは
「活性酸素を生みやすい」

過剰な活性酸素は、細胞やDNAを傷つけます。
腸で吸収した裸の鉄を
そのまま血管に放出するのはキケン極まりないのです。

血液中の鉄は
「トランスフェリン」
というたんぱく質のトラックに載り、
悪さをしないようガッチリガードされています。

1個のトランスフェリンには
3価の鉄イオンを2個結合できます。

「トランスフェリンにくっついた鉄イオン」が
血液検査の
Fe(血清鉄)
です。

血中には
「鉄を載せていないトランスフェリン」
もあります。
「空車のトランスフェリンに載せれる鉄の量」
を調べてるのが
UIBC(不飽和鉄結合能)

ここが少しややこしいんですが、
FeもUIBCも、
「トランスフェリンの量ではない」です。
見ているのは「鉄の量」です。

FeとUIBCを足したのが、
TIBC(総鉄結合能)
です。

TIBC = Fe + UIBC

FeとUIBCの比はだいたい1:2ですが、
栄養不足や疾患があると
比率がくずれます。

鉄欠乏性の貧血さんは、
Feが下がる。
体は鉄が欲しいので、
いつでも鉄を捕まえられるよう、UIBCは上がる。
TIBCも上がる。

Hgbでわかるのは
「鉄やたんぱく質の過不足」。
一口に「貧血」と言っても種類があって、
Hgbだけでは判別できない。

Fe、UIBC、TIBCではもっと詳細に
「どのタイプの疾患か」
を調べることができます。
詳しく知りたい方は↓などをどうぞ。

鉄結合能をみる検査はTIBCとUIBCはどちらが有用ですか?