鉄を見る別の指標「フェリチン」

前回、
>ヒトの体にある鉄は3~5グラム。
と書きました。

そのうちの約70%は赤血球や筋肉中に存在します。
残りの約30%が「貯蔵鉄=フェリチン」として
肝臓などの細胞質にストックされます。

細胞から血液中に漏れ出たフェリチンが
血液検査の「血清フェリチン」です。
血清フェリチンの量は、
細胞内のフェリチン量を反映します。

参考に、前回の「血清鉄」は全体の0.1%です。
微量ですけど、重要な「鉄を運ぶ指標」です。

話がそれましたが、
英語で「フェリチン」はFerritin

「鉄の、鉄を含む」はFerric(「鉄」はIron)
「化学物質」を意味する接尾後は-in

ラテン語の「鉄=Ferrum」から来てるみたいですね。
そういえば、元素記号でも鉄はFeです。

語源から見ると「フェリチン=鉄の化合物」、
実際は「鉄を貯蔵するたんぱく質のカゴ」です。
1つのフェリチン分子に
約4500個のFe3+イオンを貯蔵できます。

Wikipediaより、マウスのフェリチン

「フェリチンは鉄欠乏の鋭敏な指標」と言われています。

一般的な検診での貧血の指標は
みなさんご存知の「ヘモグロビン」ですよね。

栄養療法での貧血の指標は「フェリチン」です。

鉄不足になれば、
ヘモグロビンもフェリチンも血清鉄も
当然下がるわけですが、
「下がる順番」があるからです。

鉄欠乏のない人は、
フェリチンも、血清鉄も、ヘモグロビンも、
ぜんぶ満たされてる。

鉄欠乏状態になると、
まず、フェリチンが下がる。
その次に血清鉄。
最後にヘモグロビンが下がる。

一般的な検診で測るのはヘモグロビンだけです。

「ヘモグロビンが下がってる=すでに鉄欠乏が相当進んじゃってる」

という認識は、もっと広まって良いと思います。

「フェリチンは鉄欠乏の鋭敏な指標」
なんですが、
ある弱点があります。

次回はここについて説明したいと思います。